成熟の概念
公開日:
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最終更新日:2018/06/17
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読書感想文のような文章になってしまうけれど、私は比較的本を読むタイプの人間なのでたまにはこうして読書感想をまとめておきたいと思う。
先日私が読んだ「本当に日本人は流されやすいのか?」という本はとても秀逸だった。
日本人はよく自立性がない、同調圧力の中で個性が発揮されていないなどのように批判めいた指摘をされる事がある。
しかし、本当に日本人は自立心などがないのだろうか?
この本の著者である施氏はそうではないと言う。
確かに日本人には欧米のように個人を確立させるという意識が強いとは言えないけれど、日本には日本の文化に根差した自立の概念があると言うのだ。
それは他と協調し、状況の中で柔軟に自己を変化させていくというものである。
そこで面白いと思ったのは欧米と日本の主語の違いだ。
英語圏で私を指す言葉は「I」であり、これはどの相手、どんな状況であっても言い方が変わらない。
しかし、日本語では「私、俺、僕」などのように状況によって柔軟に主語が変化していく。
主語の私というものであっても日本の中では状況の中で規定されていくのだ。
だからこそ、どんな場合でも変わらない自分という概念それ自体が希薄になっているとも言える。
自分とその他の境界線が日本の文化の中では希薄であり、時としてその堺がどこなのかすら分からない事もある。
そこに日本の文化の曖昧な部分もあり、それが明確さを求める欧米の文化となじまない点でもあるのだろう。
だからこそ生まれる幽玄、玄妙という良さもある。
自立や成熟の概念というのは画一的なものではなく、欧米には欧米の、日本には日本の自立、成熟の概念があるはずなのだ。
私は日本人が自己の確立が出来ていない未熟な人々だとは思わない。
自己と他者の境界が曖昧だからこそ他者と協力、妥協する余地を多く残そうとしている、日本人なりの自立を果たしているのだと思う。
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